不器用な僕等の唄を
こんなのにももう慣れたのか、笑いながらまた奥に戻っていく。
その背中を見て、足元に暖かくすり寄る毛むくじゃらな生き物がいた。
か…っ、
「可愛い…。」
長袖から滴る水滴を拭いて、ロシアンブルー色の猫を撫でる。
にゃーにゃーと鳴いて、膝に顎を押し付けてきた。
犬は嫌いだけど、猫は好き。
もう目にいれても痛くないくらい。
『Sirius』と首輪に書いてある。
「…シリウス。」
カッコイい名前じゃないか、と誉めようかと思ったけどシリウスが飛ぶ。