不器用な僕等の唄を

タオルを畳んで置いて、あたしは鞄を持ち上げる。

水分を吸ったのか、いつもより重く感じる。

面倒くさい。
全てが億劫に感じる。

吐き気を覚える直前、あたしは扉を閉めた。



雨はまだ止まない。

睫や前髪から滴る雫が鬱陶しい。

ヒックと嗚咽が漏れたのに泣いているのだと気付いた。



「おかえり、お姉ちゃん。今日練習無かったんじゃ…、」

何も考えずにリビングに入ると、桔梗が驚いた顔をする。

「折り畳み傘持ってなかったの?」

「…そう。」

「早くお風呂入った方が良いよ?」



< 246 / 310 >

この作品をシェア

pagetop