不器用な僕等の唄を
お母さん!とパニクって呼ぶ桔梗の声が遠い。
馬鹿みたい。
今まで、わかってたくせに。
でも確証がないのを良いことに、けじめをつけなかったのは事実。
「体冷えてるから…。」
葛さんの声も遠い。
全部が遠い。
何もかもは、あたしから奪ってなくして遠ざかっていく。
もしも神様が存在するというなら。
あたしは神様に相当嫌われているんだろう。
「…先輩、昨日俺ん家に来ませんでした?」
廊下を歩いていたら、青に会った。
「さぁ?」
意味もなく言葉を濁すと青は怪訝な顔をする。