不器用な僕等の唄を

首を横に振る。

この学校の何処に第3音楽室があるのかも分からなかった。

『考えといて。今、そのバンドの部長と作詞家の人からボーカル探してこいって言われてんだ。』

『知り合いの人?』

『兄貴と美人毒舌先輩。』

何ソレ、と少し笑う。
青も苦笑いをしていた。



…あぁ、そうだった。

フラオブに勧誘してくれたのは、青だったんだ。




いつだって、青は私に居場所を教えてくれた。

「…自己満足でも良かったんです。
ただ、私は人に優しくして優しくされたかったんです。」

単純すぎた。
単純すぎて、見えなくなってただけ。



< 25 / 310 >

この作品をシェア

pagetop