不器用な僕等の唄を

そのくせ…。

ドサッと隣に座ってくる雪比良。

…いつだって、感じさせる体温は暖かい。

「なんでこっちに座んの?」

「椅子出すの面倒だから。」

いつもやってんのに。

部長の椅子に座るあたしの正面に座る雪比良は、パイプ椅子を出さないといけない。

「これからそっちに座らないから、座って。」

「…は?」

「その黒い椅子。」

部長の椅子にはもう座らない。

あたしなりのけじめ。



高校の冬。

その時はまだ音楽に入り浸ったてはいなくて、暖かい場所を探し求めていた。



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