不器用な僕等の唄を

教室は馬鹿な奴等が騒ぐから駄目。
屋上は鍵がしまっているし。
裏庭は寒く。
保健室には先約がいた。

「お前、何やってんの?」

トコトコと学校中を歩き回ったあたしに、雪比良は呆れた声で言う。

「あったかい場所を探し求めてた。」

「音楽室行けば良くねぇか?あそこ冷暖房完備だろ。」

確かに夏には冷房がついていた。

第3音楽室で、一番暖房があたって暖かい場所が部長の席。

「ここ、これから座っても良い?」

「別に。」

それを同意と取った。



それからずっと、あの席に依存していたわけで。



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