不器用な僕等の唄を

あたしが悪いんだけど。

半袖の体操着を着ないとならない体育には出なくなった。
水着なんて、もってのほか。

ノックの音が聞こえた。
轟だ。

「失礼します…ん、あれ?」

あたしを見て目を丸くする。

「なに?」

「あ、いえ…座る位置がいつもと違うな、と。」

右にあるソファーに座り轟は疑問を口にする。

「これから此処。」

それだけ返して、テーブルの上に放っておいたミュージックプレイヤーのイヤホンを耳につける。

これは逃げ場所。

目を瞑るより、机に突っ伏すより、音楽室でじっとしてるより。



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