不器用な僕等の唄を
「…あたし、他人の自己満足なんてどうでも良いんだけど。」
「でも、」
「ただ。轟が誰かに優しくして、いつか傷付くのを嫌がる奴がいる。」
「え?」
私が優しくして傷つくこと?
それに誰かが嫌がる?
誰だろう、なんて考えるまでもない。
「…それが轟の優しさだっていうんなら、ちゃんと相手が納得するように話した方が良い。」
音宮先輩は、イヤホンを外して部長の机に突っ伏した。
「先輩。」
「なに。」
「先輩のこと、本当に嫌いでした。」
「それはそれは。」
突っ伏したまま、声は続く。
「光栄ね。」