不器用な僕等の唄を

駄目だな、あたし。

そういう事が出来ないところだけじゃないけど、あまり周りを気にしないで話すから。

「フラオブの皆さん、次出てくださーい。」

声がかかる。

雪比良と矢祇は自分の楽器をケースから出して、ステージに向かう。

あたしもキーボードのキャスターを転がして、押していく。

高橋はバチを持ち、ドラムに近づく。

「行ってきます。」

轟は律儀に紘波に言ってマイクを持った。

楽しい宴の始まりだ。



ステージから見る客の顔は嫌いじゃない。

フラオブに期待と希望を求めて、目を輝かせているから。



< 263 / 310 >

この作品をシェア

pagetop