不器用な僕等の唄を
Ⅲ
吐き気がこみ上げる程のこの熱い想いも。
頭が痛くなる程の悲しさも。
もう、終わったのだと。
笑うと涙が零れそうで、顔が強張った。
「あ、やっと来た。音宮!」
背の高い後藤が紘波の隣にいてすぐにあたしを見つける。
明らかにガラが悪そうな集団に近づけば動き出す。
「腹減らね?」
「外に同好会が出してる屋台あるらしい。」
「だるー。」
「教室に財布忘れた!」
他愛もない会話が耳に届く。
「お姉ちゃん!一円玉持ってる?」
その中に廊下の端から声が聞こえ、目を向けると桔梗が少し怯えながら立っていた。