不器用な僕等の唄を









「おかえり、お姉ちゃん。」

葛さんがキッチンに居る。
ここまで入ってきたあたしを不思議に思ったのか、

「お腹空いた?夕飯もう少しで出来るから、我慢してて。」

そう言いこっちを見る。

「…どうしたの?何かあったの?」

床にばかり視線がいくあたしを見ている。
虚ろで色のなくなった瞳を。

全てを放棄してしまいたい。

悲しみや苦しみだけでなく、嬉しさや楽しみさえも。

「あ、あたし…。」

さっきから涙が止まらない。
涙腺が壊れたのかもしれない。

「、もう学校行かない…!」

我が儘を吐き出した。




< 271 / 310 >

この作品をシェア

pagetop