不器用な僕等の唄を

目を開くとベッドの中。

何の拍子で起きたのか思考を巡らせる。

「お姉ちゃん、今日も学校行かない?」

扉の外から桔梗の遠慮がちな声が聞こえた。

…あぁ、そっか。

何日もこの状態でいる気がする。

何も返さないと、それを肯定とみたのか足音が階段を下っていった。

こういう事、前もあった気がする。

中2の時、馬鹿な男子があたしの家庭事情を親から聞いたらしくて、分かったように

「お前の父親、災難だよな。」

と言った。

あたしはぶちギレて、その男子に怪我を負わせてあの人を学校に呼ばせてしまった。



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