不器用な僕等の唄を
ちょうど再婚して、葛さんも桔梗も居てこれからだって時なのに。
何をしてるんだろう。
「すいませんでした。よくきかせておきます。」
指導室の外から聞こえたあの人の声は今でも覚えている。
あたしが生まれたのは、あの人が18の時。
2つ年下のミエという女があたしを身籠もって籍をいれたらしい。
親戚から聞いた話だと、堕ろすといっていた女をあの人は止めた。
だから、あの人は恩人。
優しくて優しくて。
なのに器用に出来ないあたしは自分に失望して、何日間も部屋に籠もった。
今のこの状態みたいに。