不器用な僕等の唄を

よく出没するクラブに行ってカウンターに座る。

知り合いを何人か見つけたけど、後藤の連ればかりであまり信用ならない。

激しいミュージックにあわせて踊る人々。

あたしや少し上の歳ばかりが集まるこのクラブ。

…あまり好きじゃない。

機嫌が良い時は紘波に付き添いはするけど、普段1人でなんて絶対来ない。

煩くて後から耳鳴りが酷くなるから。

「え、透子じゃん!!」

予想はあたり、紘波は現れた。

隣の椅子に座りあたしをまじまじと見るなり、

「痩せた?いや、ガリガリちゃんになった?」

お世辞とは言い難い言葉を吐く。



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