不器用な僕等の唄を

穏やかにゆるゆるとあたしは日常を取り戻すはずだった。

…そんな簡単にいくわけもなく。

「気持ち悪いです。」

「はぁ?」

食堂で、やっと学校に通うようになったあたしに喜ぶ葛さんが張り切って作ったお弁当を食べていた時。

反射的に「はぁ?」なんて返してしまったけど、あたしに対してじゃないかもしれない。

でも、どこか確信めいていて。

「はっきり言って堕落してると思います。」

自分でそう思うところがあるからかもしれない。

隣に座る紘波は何が可笑しいのか噴き出して、前に座る野田と矢祇は目を丸くする。



< 284 / 310 >

この作品をシェア

pagetop