不器用な僕等の唄を
複雑すぎる。
「いくつか質問して良い?」
「あぁ。」
「阿久津サンの彼氏は雪比良じゃないの?」
雪比良の腕が緩む。
逃げずに、桜の花びらが落ちる隣に座る。
「雪比良は雪比良でも…俺や青じゃなく、ミオのな。」
…誰だそれ!?
「誰?女の子?」
「男。俺の兄貴の澪(ミオ)。働いてて忙しい。」
カッキーン、と野球部のグラウンドの方からボールがバッドに当たる音がした。
ホームランだったんじゃない?今の。
「俺も一言、言いたいことあんだけど。」
何?とその瞳を見る。
「好きです。」