不器用な僕等の唄を

その瞳に射抜かれて、心臓が止まるかと思った。

これは妄想か夢か幻聴のどれかだと思い込む。

あたしがずっと言いたかった言葉を、雪比良から聞いた。

「……いや、別に。お前が嫌いだってんならそれまでだから気にするな。ただ今なら言える気がした。」

「何ソレ。」

「返事は今すぐくれ。」

時間はくれないらしい。

あんなにこんなに悩んでいたのに、アッサリと叶うと…拍子抜けする。

「…好きです。」

ううん、アッサリじゃない。

すごく遠回りをしてきた。

「出任せ?」

「本当に!」




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