不器用な僕等の唄を

しかも桔梗の隣には。

…あの人と葛さん。

あたしの視線に気付いたらしく、2人は爽やかに笑いながら手を振る。

何故かそのことに泣きそうになった。

あんなに最低な言葉をかけたのに、あの人達はあたしを見てくれてる。

…愛しいと思う。

雪比良に対してとは、また違う愛しさ。

「…青春って、中学の時は英語でブルースプリングだと思ってました。」

マイクを通した自分の声を聞くのはとても久しぶり。

少しの笑いが漏れる。

「誰か、教えて欲しい。青春ってなんなのか。」

ずっとそう感じてた。



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