不器用な僕等の唄を
シリウスが喉をゴロゴロと鳴らす。
顎を掻いてあげると更にその音は大きくなる。
「…音宮。」
「はーい。」
「音宮さん。」
「はいはい。」
「音宮透子。」
「なんですかー。」
「透子。」
いくら呼ばれてもあたしは雪比良の方を向かない。
床に寝転がってシリウスとじゃれている。
「なんでこっち向かねぇんだよ。」
困ったような顔が視界にはいる。
「その顔。」
「あ?」
「そういう顔が見たかったの。」
それが愛おしくて、身を捩りながら笑うとため息を吐かれた。