不器用な僕等の唄を

雪比良は寂しかったに違いない。

だってあたしは、雪比良がテレビに没頭している間寂しかったのだから。

一緒にいる時間が増えて知ってることも多くなった。

雪比良は意外にバスケ少年だったこと。
映画が好きなこと。
動物全般は大丈夫なこと。
猫舌なこと。
手先が器用なこと。


あたしの前髪を梳く。


髪を触るのが好きらしいこと。





春が穏やかに終わっていく。

桜が散って、恵みの雨が沢山降るだろう。

そしてまた、季節は巡る。




春の過ぎ去る音がした。





君は春夏秋冬、傍にいてくれる。




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