不器用な僕等の唄を

お弁当箱をパチンと閉めて、

「大勢の方が楽しいよ?」

そう言った。

「そうだよ!みんなで遊びに行きたい。」

「茉利はただ単に遊びに行きたいだけだろうね。」

「うん!」

素直だね。

閉まっている窓の外からみんみん蝉の鳴く声が聞こえた。








部活が終わって、家に帰るとお母さんが台所に立っていた。

「ただいま。」

「おかえり。」

それだけの会話を終えて二階へ上がる。


私の部屋はお姉ちゃんの隣の隣の部屋。

物音ひとつしないお姉ちゃんの部屋の前を通って自室に行く。


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