不器用な僕等の唄を
気にしていない様子で、お姉ちゃんは立ち上がって。
「あの人は、優しい人だから。傷つけたら、あんたでも許さない。」
嘲笑うその顔にさえ、見惚れてしまった。
「桔梗ーごはんよー。」
ハッと目を覚ますと、時計は30分間ワープしていた。
寝てた!
制服のままで!
バタバタと下に行けば、珍しくお父さんが帰ってきていた。
「あ、おかえりなさい。」
「ただいま。」
階段から足音がして、そっちを見る。
「葛(カズラ)さん、今日夕飯いらない。」