不器用な僕等の唄を
Ⅱ
夏の夕暮れ時は、蒸し暑い。
昼間より影が伸びてて、太陽の光が頭上じゃなくて頬に当たる。
「暑ー…い。」
本日、何度目かの台詞を吐いて家に入る。
「おかえり、ちょっとお醤油買ってるね。」
玄関の扉で、お母さんと入れ違いになった。
「行ってらっしゃい。」
「6時には帰って来るから。」
私はリビングに通知表を置く。
もう小学校からの習慣になっている。
リビングのテーブルにはお姉ちゃんの通知表も置いてあった。
「うわ、神様…。」
言葉が漏れる。