不器用な僕等の唄を

案の定、お母さんは私の成績を見て口を尖らせた。

いまどき、こんなお母さんはいないと思う。

「桔梗ー。もう少し頑張りなさいね?」

「…はぁい。」

お姉ちゃんは既に、夜遊びに出掛けている。

リビングには私とお母さんしか居なくて、テレビだけが喋る。



前のお父さんとお母さんは離婚した。

どっちの浮気とか、そういうんじゃなくて。

噛み合わなかった。

お母さんが居て欲しい時にお父さんがいなくて、お父さんが居て欲しい時にお母さんがいなくて。



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