不器用な僕等の唄を
「行き違いになったかもしれないです。」
私は日誌を近くの長テーブルに置いて、今さっき入ってきた扉を振り返る。
「一回りしたら来るだろ。」
きっと、と付け足した部長は、また楽譜に目を戻す。
確かに。
「…ここにたどり着ければ良いですね。」
青は人一倍の方向音痴。
少し心配しながらも、私は椅子に座る。
バンドはギターとキーボード作詞と作曲とベースとドラム、ボーカルで成り立っている。
一年の私はボーカル担当で、部長や音宮先輩は二年生。
バンド名は、私が入る前に決まっていた。
『Fragment of Amber』
通称、フラオブ。