不器用な僕等の唄を
私も家出なのかな?
小首を傾げていると、少年は急に立ち上がる。
「帰るの?」
「まさか。腹空いたから何か買いに行こうかと思って。」
「私も行く。」
昼のお弁当を食べて以来、何も口にしていなかった。
少年の後を追いかけて、立ち上がる。
「名前は?」
「桔梗。…キミは?」
「カイ。」
遥か昔にこんなやりとりを誰かとした気がする。
カイはここが地元らしく海に近いコンビニを知っていた。
「あ…これで所持金15円。」
そう呟くと、爆笑された。