不器用な僕等の唄を

日誌を書きながら、扉が開くのを待った。

青は恋人じゃない。
クラスの男子の中で、ただ喋る回数が多いだけ。

友達と言われたら、素直に頷ける。

扉が開く。

「今日暑ー…。」

第2ボタンまで開いたシャツをだらしなく着る二年生男子が現れる。

…この人はいつも優しい雰囲気を醸し出す。

「轟(トドロキ)、俺の顔になんかついてる?」

「いえ。」

王子様…とでも良いんだろうか。

「猫被り。」

音宮先輩の冷たい声がした。

優男なベース担当、ヤギさんは私を通り越し、会長の方へ近づく。



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