不器用な僕等の唄を
Ⅳ
マンションの5階から顔を出しすカイ。
私はそれに手を大きく振った。
照れるように手を小さく振りかえしたカイは、家に入ったのか見えなくなる。
私も…帰らなきゃ。
そうして、私の家出劇も約12時間を持って、幕を閉じた。
…は良いけど。
所持金15円。
バスに乗れないし、こんな時間じゃ電車すら出てないし!
おまけに少し田舎な方だから、人がいない!
野宿?
さっきのバス停のベンチに座りこんで、携帯を探したけど、充電が切れていた。
…こんな時に限って。