不器用な僕等の唄を
額に手を当てれば、お姉ちゃんを思い出す。
なんか、私っていつも『お姉ちゃん』だ。
公衆電話が目に入る。
「…あ!」
その公衆電話に飛び付いて、10円玉を入れた。
知ってる電話番号は、家と家族の携帯。
『もしもし。』
澄んだ声は、私の憧れてる人。
羨ましい人。
「…お姉ちゃん?」
電話口の向こうでは、大きな音楽と人の笑い声。
『早く帰んなよ。葛さん心配してた。一応、友達の家にでもいるんじゃないかって言っといたけど。』
「お姉ちゃん…。」
私、酷いこと言ったのに。