不器用な僕等の唄を
『何?』
「私、帰れない…。お金なくって。」
『はぁ?』
心底呆れたような溜め息が聞こえる。
私はバス停の名前を言うと、電話が強制的に切れた。
歩いて帰ろうかな。
でも、まったく道が分からない。
交番とか探せば良いのかな?
空を見上げると、少しだけ星が出ている。
都会の空気は汚くて、空に星は見えないと茉莉は言っていたけど。
ここの空も同じようなものだと思う。
「…桔梗。」
名前を呼ばれた。
ゆっくりとそっちを向けば、さっきまで電話していた相手、お姉ちゃんがいた。