不器用な僕等の唄を
花火のユニゾン。
Ⅰ
ちゃらりん、とお気に入りの受信音が鳴って携帯を開く。
誠(マコト)からのメール。
あたしの彼氏、誠はふたつ上の学年で。
ここじゃない、陸上で有名な高校に通っている。
…少し離れた都会の。
メールを見てみれば、そこには唇を結んでしまいそうな文字の羅列。
『ちょっとキツい。』
会いたい。
会えない。
でも、会いたい。
会って、誠の頭をギュッと抱きしめて。
『頑張って。応援してる。』
そう、文字じゃなくて言葉で。
機械を通さない声で、言いたい。