不器用な僕等の唄を

友達といると楽しい。

誠のことを考えなくて、済むから。

だって、電話をしてると…、

「なんか、地球の裏側の人と喋ってるみたい。」

『大袈裟だな。』

笑い声。

クッションを抱きしめ、時計を見る。

うちの親は多忙で、あまり家に帰ってこない。

「同じだよ。だって、会えないんなら地球の裏側と一緒だもん。」

『じゃあ…陸練ない日に遊びにきなよ。』

「…うーん…。」

陸上部の練習表を見ても選手に選ばれたあたしは休みは少ない。

少ないうえに、休めない。



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