不器用な僕等の唄を

左側に位置する窓ガラスから風が入る。

「お姉ちゃん。餓死してないかな?」

心配そうに桔梗は眉を顰めた。

「桔梗サン、人間そう簡単に餓死しませんヨ。」

「だって!あんなにお姉ちゃん細いんだよ!?死んじゃうかもしれない。」

シスコン恐ろしや…。

高橋が足を止める。

扉の向こうからは、防音なんだけど少し洩れた音が聞こえてくる。

「…すごい。」

あたしは感嘆する。

「ドラムがないのにちゃんと音楽になってる!」

ふざけ半分で言った。

「そこかよっ。」

と高橋に睨まれた。



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