不器用な僕等の唄を

固まったあたしに、誠は驚いて固まる。

…違う、こんな驚き方してもらいたかったワケじゃない。

もっと、嬉しそうに驚いて欲しかった。

そんな、

「なんでここにいんの?」

『邪魔』みたいな、困惑したような顔しないで。

ボブカットの彼女は、こっちを見て眉を寄せている。

眉を寄せたいのはこっちの方。

「なんで…って、誠に会いに来たんだけど。電話もしたし。」

「…え。」

「で…ダレ?」

失礼な言い方。

分かってる。
分かってる。

…でも、止められない。




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