【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
そうして暇を持て余してはみたものの、電話から十分も経たないんだろうけど、かなり時間が経った気がする。


昨日までは時間が目まぐるしいくらいに早く過ぎてたのに。


突然変わった生活のせいか、沖縄の独特な雰囲気のせいか、時間がゆったりとしている。


ゆったり時間が流れるのって、意外と不安かも。一人だと尚更そう感じる。


ビーサンを掃いた足の、水色の取れかけの爪をぼやーっと見つめていると、向こうの方からここの風景とは似つかわしい、でっかいバイクがやってきた。


「うわぁ、何あれいかつー」


それは、こののどかな沖縄という土地には全く似合わない、少しおかしな光景であり、音だと思える。


冷静にそんなことを思える私もたいがいおかしいのかもしれないけど。
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