【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
隣で少年みたいに笑うナツ。


ごめんね、ナツ。なんだか私、上手く笑えそうにないや。


だって、花火って、私達の関係みたいなんだもん。


ひと夏の間だけ輝く関係の、その時が来たらあっけなく終わる私達みたいなんだもん。


綺麗な花火に、上っ面だけははしゃいだ私だったけど、ようやく最後の線香花火になる。


「どっちが長く持つか、勝負しない?」


「いーよ。勝ったらなんでも言うこと聞いてくれるならね」


ナツは私の答えにニンマリと笑うと、親指をぐっと立てた。


どこまでこの人は、眩しく笑えば気が済むの?夜の闇にも、花火にも、ナツはきっとずっと、負けることは無い。


私はそうやって笑えない。いつでもちっぽけで、中途半端なんだ。
< 100 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop