【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
結局疑問は解決しないまま寮に戻って来る。


カズのやたら綺麗に染まった白金の髪の毛の生えた後頭部は、さっきのことを考えているのかまだ下を向いている。


私はその小さな後頭部に軽く痛いくらいのげんこつをお見舞いし、ついでに親指でグリグリとつむじに攻撃を与えた。


「イッタ!何スかもう!」


「あんたさ、人のことに関しては鋭いよね。もう少し自分の回りのこと見てみれば?」


私のその攻撃が思いの外痛かったのか、半泣きで頭を摩るカズ。


そして、くりくりの目を斜めに泳がせると耳だけ真っ赤に染めて、前髪をぎゅっと握る。


ふて腐れた表情のカズは、ひよこのように尖らせた口をもごもごと動かした。
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