【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「俺のことはいーんスよ。どうせ男として見てもらえてねえし。じゃなきゃ、二人きりの夜にガーガー寝ないっての」


フーン?成る程。そうか。カズも、アヤのこと、そういう風に意識してるんだ。


「どうしようもない鈍感なんだねえ、全く」


私はぶつくさ呟いたまま自室に戻るカズの背中に聞こえないように言い放った。


素直になればいいのに。だって二人には、これから沢山時間があるんだから。


時間が僅かになった私にとって、ゆっくり関係を育める二人が羨ましい。


なんか今、ナツにギュッと抱きしめてもらいたい、な。


それってワガママなことかな。いや、ひと夏限定だけどそういう関係なんだし、それくらい、聞いてくれるよね。
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