【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
ナツの部屋は、まるで海外みたいな感じ。


アンティークの家具と、優しい色合いの照明。家具のあらゆるところに飾ってある小さな置物、壁にかかっている絵画。


同じ建物の中に住んでるのに、ここだけが別世界だ。


そして、小さなタンスの上に置かれたこれまたアンティークな写真立て。


沢山の写真は、全部ナツが中心で笑っている。


アヤとカズを挟んで白い歯を存分に見せつけて笑うナツ。


お客さん達に囲まれて、大きなハブ酒を掲げて笑うナツ。


近所のおじさん達と生ビール片手に、麦わら帽子を被った姿で笑うナツ。


その笑顔にはひとつも屈託なんてない。眩しくて、キラキラしている。


ナツの笑顔はいつでもまっすぐで、どこまでも透き通った光のよう。
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