【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
……だって、その写真の女の子って、間違いなく、私なんだもん。
それだけじゃない。一緒に写っている左端のおじさんはお父さんだし
この小汚い軽トラは、お父さんの軽トラだ。
そして……私達と一緒に写っているこの人。私はこの人を、確かに知っている。全部で覚えてる
けど、でも、何で?どうして?どういうことなの?
動揺し過ぎて、現実を整理出来ない自分がいる。
私は写真の男の人と、ベッドに横たわるナツを見比べる。
ナツは相変わらず、歳にしては幼い顔で、穏やかに寝息をたてている。
男顔か女顔かでいうと間違いなく女顔なナツと、そこに散りばめられたシルバーのピアス達。
まさか……違い過ぎる。この写真とも、私の記憶の中とも。