【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
私は写真をそっと置いて部屋を後にした。


そして、ふらふらっと寮を出て、道路を越えて海岸へ行く。


空を見上げると、悔しいくらいに綺麗な星空。星空がこんなに綺麗だったなんて、私は今まで知らなかった。


こんな時、思い出すのはナツの顔面にちりばめられたピアス達。


「……ああもう!私の頭の中って、ホントにナツばっか。もっと考えなきゃいけないこと、あるでしょ」


馬鹿みたい。あと二週間だってのにさ。


それでも、好きで、好きで好きでたまらない。


でも、ナツに伝えたいのは、『好き』でも『愛してる』でもない何かだと思うんだ。


その何かは、どこを探せば見つかるの?見つける為なら私、どこへでも走るのに。
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