【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「……なあフユ、明日さ、一日だけ私達に時間、くんねえかな?」


この空気が気まずくて黙っていると、アヤが私にそう呟く。


「ほら、明日一日ここ、アマチュアバンドが貸し切りでライブするから休みだろ?まあナツさんはマスターだから仕事だけど、うちらは休みになってんじゃん?」


「え……ん、まあ、いい、けど」


勢い良く言われたのもあり、私は頷くしかなくて、歯切れ悪く答える。


「あんさあ、それなら、美ら海水族館、行きません?沖縄にいるんだし」


「そうだな!あそこはここにいるうちに連れてってやりたいしな」


私の答えを聞くや否や、二人は明日の話で盛り上がり始めた。


何でだろう。この二人はホントに私が弱ってると感じた時は、いつも言われたくない言葉を避けてくれるところがあるんだ。
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