【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
どれくらい車で走ったのだろうか。


二人があまりにも賑やかだったから、あっという間に感じた目的地への道中。


そして、退屈をちっとも感じないまま目的地の美ら海水族館へたどり着いた。


「ここは沖縄の誇る世界最大級の水族館なんスよ!」


「お前は水族館の回し者か!」


まるで夫婦漫才みたいなやり取りをする二人は、やっぱり周囲に溶け込むことなく一際目立っている。


そんな二人を置いて私は先に入館を済ませるために入口へ歩き始めた。


「あ!怒りん坊のアヤさんのせいで、フユちゃんに置いて行かれちゃうよ!」


「誰のせいだって?このチビ!クソ生意気なガキンチョ!」


まだ言い合いを止めない二人も、そんな私の後を追って動きはじめた。
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