【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
水族館の中は、確かに、世界最大級というのが納得出来る仕様。


まるで、自分が海の底を歩いているような雰囲気の館内を歩き回り、私はナツと海に潜った日を思い出した。


そういえば……“アオ先生”がいなくなる前日も、水族館に行ったっけ。


ナツは、本当にあの“アオ先生”なのだろうかと疑問に思えるほどに重ならないんだ。


記憶の中の彼は、あまり喋らない、表情のない、ナツがプラスの雰囲気を放つ人ならその真逆のような人。


どうしても、同一人物だとは思えない。


でも、あの写真がナツの部屋にあったのだから、ナツイコールアオ先生だと言うのは動かぬ事実。


なのに、どうして答えを焦らすの?ナツは、私に知る権利が無いと言うの?
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