【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
アオ先生とは、食事以外で会うことはほとんどなくて、家の中でたまにすれ違って挨拶するくらい。
名前もフルネームで知らなければ、年齢も、何も知らない、謎の人。
そんなアオ先生と近付くきっかけになったのは、お父さんが職場の人と飲みに行ってて二人きりで晩御飯を食べた日。
まあ、そりゃ息苦しいご飯だった。向こうも私も自分からガンガン話すタイプじゃないし。
沈黙を破ったのは、アオ先生の意外な言葉だった、かな。
「冬花、さん。……君は、何が不満だからそんなに悲しい目をしているの?」
初めてまともに聞いたアオ先生の声。鮮明に思い出せるわけじゃいけど、確か、低くはなかった。
円くて、やわっこくて、ガリガリの体に似合わない、なんて穏やかな声だろうって思ったことは、今でも忘れられないけれど。
名前もフルネームで知らなければ、年齢も、何も知らない、謎の人。
そんなアオ先生と近付くきっかけになったのは、お父さんが職場の人と飲みに行ってて二人きりで晩御飯を食べた日。
まあ、そりゃ息苦しいご飯だった。向こうも私も自分からガンガン話すタイプじゃないし。
沈黙を破ったのは、アオ先生の意外な言葉だった、かな。
「冬花、さん。……君は、何が不満だからそんなに悲しい目をしているの?」
初めてまともに聞いたアオ先生の声。鮮明に思い出せるわけじゃいけど、確か、低くはなかった。
円くて、やわっこくて、ガリガリの体に似合わない、なんて穏やかな声だろうって思ったことは、今でも忘れられないけれど。