【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「僕は、心のどこかで大人を信用出来なかったんだけどね、あるきっかけで先生を信用出来るようになって、本当に笑うことが出来るようになったんだよ」


アオ先生の言うことは、全部が正しいと思う。私もそうだ。お父さんにも、担任の先生にも、ひとつ距離を置いている自分がいる。


「じゃあさ、私も誰か大人を信用出来るようになったら、ちゃんと笑えると思う?」


私が呟くように尋ねると、アオ先生は微かに口角を上げた。


「大丈夫。君が思うよりも、周りの人はずっと君を見ているから。君は一人で生きていない。それが分かればきっと……ね」


その言葉が、この人を信用するのに大きな要因になったんだ。


アオ先生なら、その話の信用出来る大人になってくれると、素直に思えたんだよ。
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