【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
アオ先生がうちに住み始めて三週間くらい経った頃だろうか。


私は三泊四日の修学旅行で、沖縄に行った。


首里城やひめゆりの塔、避難に使われたガマを見学したんだったと思う。


正直、今みたいに沖縄を堪能出来たわけじゃないけど、その地が素晴らしい場所だというのはその数日で実感した。


帰って来て、その報告を誰よりも早く、一番にアオ先生にした。


「そう。沖縄……ね。行ってみたいなあ」


「そうしなよ。一回行ってみれば?アオ先生っていっつも時間に追われているように見えるし、ああいうところでゆっくりするのもありっしょ」


何気なくそのようなことを言ったのが記憶の片隅にある。


アオ先生はいつものように、笑顔だかなんだか分からない顔をしていた。
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