【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
写真を撮った次の日。修学旅行後の休みの私と、何故か家にいたアオ先生は、どういういきさつかよく思い出せないけれど、水族館にいた。


多分、沖縄で海が見れなかったとかぼやいた私のために連れて来てくれたんだと思う。


館内のことは殆ど覚えてない。でも、最後の出来事はちゃんと覚えている。鮮明に、覚えてる。


水族館を出て、駐車場。覚えてないくらいどうでもいい話をしていたんだけど、ふと、アオ先生が私の肩を掴み、私の体を抱き寄せた。


「アオ……先生?」


突然のことで驚く私にアオ先生は耳元で囁く。


「冬花さん、もし、僕がもっと強くなれたら、その時は、ちゃんと君に帰す。そして……」


『………………』


アオ先生の言葉は、英語で終わった。その英語は、正直覚えていない。


……そしてその翌日、アオ先生は、突然私の前から姿を消した。
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