【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
私ね、あの日、ナツが今のと同じ言葉を言ってから、成長したんだよ。
そんなに好きじゃなかった英語をいっぱい勉強して、また取り戻そうと必死になって。
……まあ、いつの間にか、その言葉の為ってこと自体忘れていて、いつしかその言葉自体も忘れていたけれど。
だけど、今、私は大学で英文を専攻して学んでるんだよ。
だから、ナツがあの日と今、私に何を言ってくれたか分かるよ。
『To hold you in my arms again……“そしてもう一度、この手で君を抱きしめたい”』
この言葉を英語とはいえ言えちゃうナツは、やっぱり、変わったけれど本質は昔から変わらないんだなあ、なんて思ってしまい、ふっと、頬の力が緩んだ。