【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
こんな些細なことが楽しい。


皆と働いて、ナツの美味しいご飯を食べて、一緒に歩んで、温もりを感じる。


「さてとー。カズが泣きそうだしホール手伝ってやるかな」


ナツは黒に近い、コーヒー豆みたいな色の髪をガシガシと掻くと、お客さんでごった返すホールへと走って行った。


私も一人で調理をしているアヤの元へと歩く。


至る所に貼ってある注文の紙を眺める。


初めてここにやって来た日は、どうしていいのかも分からなかったけど、今は何とか戦力になれてるかな?


「フユごめん!そっからそこまで頼んでいい?」


「オッケー!今日も頑張ろ!」


きっとこの場所から離れても、私はここで学んだことや体験したことを、忘れることはないだろう。
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